鍼灸による痔の治療
アジア各地で近代まで行なわれてきた医療の主流は、生薬を用いた「生薬方」と、物理療法である「鍼灸」です。つまり鍼灸はアジアでの医療技法の一方で生薬方と双璧をなす存在です。
さて、鍼灸による痔の治療ですが、基本的には便秘、下痢症の人に多いので、この便秘、下痢症事態を改善して、それにより痔に対する刺激を弱めて痔そのものを治すというのが中心となります。
最近でもこうした痔の鍼灸治療ではよい効果が得られているようです。できれば痔の鍼灸治療は手術などをする前に試すことをお勧めします。
実際痔の症状が軽い場合は、手術などはしなくても鍼灸治療で済むことが結構多くなっています。鍼灸の効果が期待できるのは、痔核(イボ痔)、裂肛(きれ痔)、痔瘻(じろう)の中でも特に痔核と裂肛ということで、鍼と灸で局所の循環を改善していき、便秘であればその治療も併せて行い、ストレスもあればそれを取り除くよう、全体的な施術が行われます。
直接的な要因としては肛門周辺の毛細血管に血流障害があることが多く、静脈は細かくいわゆる網の目状になっているので血流が滞りやすく、位置的にも骨盤内にあるので腹圧や妊娠などによる負荷もかかりやすいのです。
イボ痔の場合は静脈血管系と肝臓の負担を減らす治療として、頭部の「百会」や前腕部の「孔最」、腹部の「期門」の経穴を用いたりします。
きれ痔は便秘が原因になりやすいので、腸の運動を活発にする治療となり、腹部の「天枢」や「大巨」、腰の「大腸兪」や「上?」の経穴を用いたりします。治療に関しては、身体への負担は非常に少ないので、誰でも利用することができるはずです。